夫がギャンブル依存症かも……。離婚請求のために必要な証拠集めとは?
夫がギャンブル依存症でお金を注ぎ込んでしまう、という場合、離婚を考えるのも1つの手です。
しかし、ギャンブル依存症を理由に離婚可能なのかがわからず、踏み出せないという方もいるのではないでしょうか?
ギャンブル依存症が理由でも、条件を満たしていれば十分に離婚請求が可能です。
今回は、ギャンブル依存症のパートナーと離婚するための方法や、離婚のために集めておくとよい証拠をご紹介します。
ギャンブル依存症を理由に離婚できるのか?
パチンコやスロット、競馬、競艇など、娯楽として楽しむ範囲なら問題ありませんが、生活に影響がでるほどお金を注ぎ込んでしまうと依存症が疑われます。
「子供のための貯金を勝手に使われてしまった」
「ギャンブルのために借金をしている」
といった場合、今後の家族の生活に支障が出てしまうでしょう。
もし、本人が反省しており、改善を望んでいるのであれば、まずは依存症からの立ち直りを検討しても良いかもしれません。
本人が反省していなかったり、何度も再発してしまう場合は、離婚も視野に入れてみてください。
夫が離婚に同意してくれない場合
離婚するには、まず夫婦で話し合いを行う「協議離婚」をします。
しかし、離婚の申し出に夫が応じてくれないとなると、「調停離婚」へ進むほかありません。
調停離婚とは、家庭裁判所の調停委員が加わり、双方が合意できるように話し合いを行う離婚方法です。
ここでも離婚が不成立となった場合、最後は裁判で離婚を争うことになります。
裁判で離婚を認めてもらうためには、夫のギャンブル依存が法定離婚事由に該当するかどうかが重要です。
法律上、「悪意の遺棄」や「婚姻を継続しがたい重大な事由」があれば、裁判で離婚が成立しやすくなります。
悪意の遺棄とは、夫婦で行うべき義務を正当な理由なく放棄することです。
ギャンブル依存症の場合であれば、下記のような事例が悪意の遺棄に相当します。
- 収入をギャンブルに使ってしまい、生活費を出してくれない
- ギャンブルを理由に就職しない
- ギャンブルを理由に家に帰らない
他にも、下記のような事例であれば、婚姻を継続しがたい重大な事由に当てはまるとして、離婚が認められるケースがあります。
- ギャンブルのための借金で生活が苦しい
- ギャンブルばかりで育児をしてくれない
ただし、ギャンブル依存症であったとしても、生活面で問題がなければ、裁判で離婚は認められません。
ギャンブル依存症の夫と離婚するまでに行うこと
ギャンブル依存症の夫と離婚を決意したら、離婚までの間で準備を行いましょう。
それでは、どのような準備が必要なのでしょうか?
経済的に自立しておく
離婚後は、生活費や家賃など、なにかとお金が必要になります。
婚姻期間中から、生活で必要な金銭は必ず自立しておくようにしましょう。
もし、夫が生活費なども使い込んでいるようであれば、自分が使うお金は別にした方が安全です。
また、調停離婚や裁判離婚まで進んでしまうと、費用もそれなりにかかってしまいます。
専業主婦やパート、アルバイトで働いている場合は、就職先を探しておくことも重要です。
借金をしていないか調べる
ギャンブルで使い込んでいるお金に、借金が含まれていないかも確認しましょう。
もし借金していたとしても、夫がギャンブルのために借りたお金であれば、離婚後に支払いを求められることはありません。
しかし、自分が連帯保証人になっていると、離婚後でも支払い義務が発生してしまいます。
夫が借金をしていないか、その借金の連帯保証人が自分になっていないかも、しっかりと確認しておきましょう。
ギャンブル依存の証拠を集める
もし離婚が上手くまとまらず裁判になった場合、夫がギャンブルに依存しており、それが原因で夫婦生活が破綻していたと証明する必要があります。
そのため、ギャンブルが要因で生活が苦しかった、困っていたということがわかる証拠を集めておきましょう。
認められやすい証拠としては、次のようなものが挙げられます。
- これまでの状況や経緯を記すメモ
- 相手の言動が書かれた日記
- 家計簿など経済状況がわかるもの
- 話し合いを行った音声記録
- ギャンブルを止める等、約束が書かれた誓約書
慰謝料や養育費は請求できるのか?
ギャンブル依存症が原因で離婚となった場合でも、慰謝料を請求できるケースがあります。
それは、夫の言動が不法行為と認められる場合です。
不法行為とは、他人の権利や利益を侵害することで、DVなどが当てはまります。
もし、ギャンブルをしたいからとお金を要求されたり、暴力を振るわれていたりといった場合は、不法行為が認められます、
ただし、夫に支払い能力がなければ、受け取れる慰謝料の金額はあまり高くはないでしょう。
また、子供がいる場合は養育費も請求できます。
請求できる費用は、双方の収入や子供の年齢、人数により決まるため、弁護士に相談してみるとよいでしょう。
ギャンブル依存症の夫と離婚した後の注意
ギャンブル依存症の夫と離婚した後も、安心はできません。
もし、慰謝料や養育費を請求している場合、不払いに気を付けましょう。
ギャンブル好きも依存症までいくと、なかなか治るものではありません。
借金を繰り返してしまうと、慰謝料や養育費の支払いが止まる可能性があります。
不払い対策として、支払いに関する約束は公正証書として残しておくことをおすすめします。
また、子供がいる場合は借金の相続にも注意が必要です。
離婚後も親子関係は続くため、財産や遺産は子供に相続権があります。
プラスになるものなら良いですが、借金のようにマイナスのものも含まれてしまうのです。
「相続放棄」や「限定相続」をして、子供も守るようにしましょう。
ギャンブル依存症の夫と離婚するなら専門家へ相談
ギャンブル依存症は、簡単には治らない病気の1つです。
夫婦で改善を目指す場合も離婚する場合も、それぞれの専門家へ相談する必要があります。
離婚する場合は、夫の同意が得られなければ裁判に発展しかねません。
その時に備えて、日頃からギャンブル依存の証拠を集めておくと良いでしょう。
離婚までにどんなことをしたらいいのか、不安な時は専門家に頼ってみてはいかがでしょうか?