慰謝料発生のボーダーラインを考える
パートナーの不倫が発覚した場合に、パートナーに裏切られたことで受けた精神的苦痛やストレスの代償として請求するのが「慰謝料」です。しかし、どんなにあなたが「パートナーが私を裏切った」と感じていても、必ず慰謝料が支払われるとは限りません。
今回は、慰謝料が支払われるボーダーラインについて考えてみたいと思います。
どこからが「不倫」なの?
「異性と二人仲良く話す」のがアウトだと思う人がいれば、「異性も大勢集まる会社のバーベキュー大会に参加した」ことをアウトだと思う人もいるでしょう。「どこからが浮気になるか」ということを考えたことのある人は大勢いらっしゃると思いますが、同じように不倫の定義も人ぞれぞれです。
法律的には「パートナーと不倫相手が肉体関係にある」場合を「不倫」と定義しています。配偶者以外との肉体関係を「不貞行為」と言い、この不貞行為があった場合に「不倫」と認められ、法の下で慰謝料の支払いが命じられることがあります。
例えばパートナーが異性と親しく話したり二人きりで食事に行ったり、数回デートに言ったなどでイヤな思いをする人はいるかと思いますが。しかし個人の感情にかかわらず、「関係が深まり、相手の自宅で関係を持つようになった」「二人で食事をした後ラブホテルへ入った」など、「不貞行為」がなければ法律の上では不倫と認められないため、慰謝料請求が認められない場合もあります。
慰謝料発生のボーダーライン
パートナーやその不倫相手に慰謝料を請求できるのは、基本的に「パートナーや不倫相手に故意または過失があること」「パートナーの不倫により自身の権利が損害を受けた事実があること」となります。
では実際に、慰謝料の支払いが認められたケース・認められないケースをそれぞれ見ていきましょう。
慰謝料の支払いが認められるケース
■パートナーの不倫のせいで円満だった夫婦生活が悪化し、別居や離婚に至った
■不倫相手が、パートナーが既婚者だと知りながらまたは気が付いていながら関係を持っていた
■不貞行為はなかったが、夫婦関係の破綻やストレスで心身を壊すほどの親密な交際をしていた
慰謝料の支払いが認められなかったケース
■関係悪化による別居など、夫婦関係が事実上破綻していた
■不倫相手がパートナーが既婚者とは知らずに関係を持ち、気が付く余地もなかった
■脅迫や強姦など、自由意志で持った関係ではなかった
■すでに不倫の慰謝料を受け取っていた
■不倫の時効を経過していた(3年間)
慰謝料にも相場がある
不倫や離婚の慰謝料というと、有名人のスキャンダルで報じられるような数千万円・数億円の慰謝料支払い・・・というイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、実際はそれほど高額の慰謝料支払いを裁判で命じられることはごくまれです。有名人の支払う慰謝料が高額なのは、財産分与などが含まれているケースも多いからです。
一般的な不倫の慰謝料はだいたい数十万円からで、高額な場合は300万円ほどの支払いが認められることも。どうしてこのように幅があるのかというと、ケースにより増額・減額があるためです。
比較的高額となる場合
■不倫が原因で夫婦関係が破綻し、別居や離婚に至った
■婚姻期間が長い
■パートナーが心身を壊したなど、不倫が原因で家庭環境に大きく悪影響を及ぼした
■未成年の子どもがいるまたは子どもが多い
■悪質な不倫関係(不倫期間が長い・会う頻度が非常に多いなど)
比較的少額となる場合
■不倫が原因の離婚や別居をしていない
■婚姻関係が事実上破綻している
■婚姻期間が短い
■家庭環境への影響が少ない
■子どもがいない
■悪質とは言えない不倫関係(不倫期間が短い・数回しか会っていないなど)
慰謝料を請求するための「証拠」
パートナーや不倫相手に慰謝料を請求するためには「不倫している」という証拠が必要。しかし、疑わしいからとむやみにパートナーを問い詰めたり、自分で証拠を集めようとすると警戒心を高め、証拠をもみ消してしまうかもしれません。そうなると不倫の証拠なんてない!とシラを切られ、慰謝料請求は難しくなってしまいます。
不倫・浮気調査のプロである探偵なら、2人でいつ何時から何時までどこのホテルへ入っていた・出張と偽ってどの地域の何という旅館に旅行をしていたか・・・など、証拠となる写真や映像はもちろん、不倫している2人の行動を事細かに記録したものをまとめた「調査報告書」を制作できます。探偵が作成した調査報告書は法的に認められており、離婚裁判や慰謝料裁判において効力を発揮します。
不倫の証拠を集めるためには、高い技術を持ち信頼できる探偵に相談しましょう。
まとめ
慰謝料を請求することに抵抗がある人もいらっしゃるかもしれません。しかしパートナーの不倫で傷ついたあなたが前を向くために、お金が必要となることもあります。
心のダメージをお金に換えているのではなく、これから明るい人生を送るために必要なもので、慰謝料請求は正当な権利であると前向きにとらえていただきたいと思います。