採用担当者向け・反社チェック4つのポイント
反社会的勢力、「反社」と通称される組織に属する人間との、関係を遮断すること。
これは企業に課せられた大きな課題の一つです。
採用者のチェックは人事部が、取引先のチェックは法務部が担当するのが一般的ですね。
今回は、そんな反社チェックの、採用時におけるチェック項目と方法について、ご紹介します。
なぜ採用時に反社チェックが必要なのか?
なぜ、採用者が反社会的勢力に属していないか、チェックする必要があるのか?
端的に言ってしまえば、反社との関りは、会社にとって大きなリスクとなるからです。
政府の公表した「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」は、
コンプライアンスや企業が負う社会的責任の観点から、反社の排除を推進しています。
各都道府県で制定されている暴力団排除条例、通称「暴排条例」と呼ばれる条例では、
反社との取引を防ぐために「暴力団関係者でないかの確認」、「契約書に暴力団排除への特約を明記」、
「暴力団への資金提供を禁止すること」が盛り込まれています(東京都の場合)。
また、入社して間もないころ、ご自身が採用された際の契約書や、取引先と交わした契約書に、
わざわざ暴力団に関する項目があったことが印象的だった人も、多いのではないでしょうか?
あれは暴力団排除条項、通称「暴排条項」と呼ばれ、「反社会的勢力であったり、その関係者であった場合、
いつでも契約を解除できる」といった内容です。
これは雇用契約だけでなく、企業間や銀行との契約においても盛り込まれることが多い条項です。
そのため、反社会的勢力に属する、もしくはその関係者を雇用するということは、
それを理由に取引先から一方的に契約を解除されるという、非常に大きなリスクを負うことになります。
反社会的勢力との関係によって、上場廃止の危険もある
上場を検討している、もしくは既に上場している企業の場合、反社会的勢力とのつながりが原因で、上場を廃止させられる危険もあります。
日本証券業協会は、「証券取引および証券市場からの反社会的勢力の排除について」の中で、
反社会的勢力との関係を排除することを求めており、それが認められない場合は上場廃止の可能性もあることを示唆しています。
万が一、上場廃止となってしまった場合、その損失は甚大なものです。
現在ある関係を解消するのは当然として、新たに関係を持たないようにするのがより良い対策であることは、リスク・効率の面からも明らかです。
上場の有無だけでなく、上方の流出や乗っ取り、その他の違法なトラブルのリスクや信用の失墜など、多くの危険を孕んでいます。
事前の予防を怠らず、反社会的勢力やその関係者が内部に入り込まないよう、未然に防ぐのが、最良の対策になります。
採用担当者向け、反社チェックのポイント4つ
反社会的勢力を内部に入れないよう、採用担当者は目を光らせる必要があります。
実際どこを注視すれば、反社である可能性に気づけるのかについて4つのポイントをご紹介します。
1,暴排条項のある契約書に同意しない
暴排条項を盛り込んだ契約書にサインしない場合、その人自身が反社会的勢力に所属している、もしくは、その関係者であることが理由かもしれません。
新規の採用には基本的に暴排条項を盛り込んだものを使用し、従業員にも暴排条項込みの契約書に改めて同意を求めましょう。
勿論、「既に契約しているのになぜ?」と不快感を持つ人もいますが、そこはしっかりと、会社の方針を説明します。
この同意を渋っており、それの原因が暴対条項にあるようなら、要注意です。
2,仕事上のトラブルが、第三者の介入で解決した
採用担当者の方に限りませんが、重要な注意点なのでここでご紹介します。
トラブルを解決してあげて相手に「借り」を作らせ、「借りを返せ」という形で入り込んでくる。これは、反社会的勢力のよくある手口です。
あるトラブルがあったとして、それを「丸く収めてもらった」という借り、
「大きなミスを秘密裏に処理してもらった」という借り。こういった借りに対して、見返りを要求してきます。
もし誰かが仕事上のトラブルを起こし、それが解決されたとして、第三者の介入によってそれが収まっていた場合、
その第三者が誰であるか、調査しておくに越したことはありません。
反社会的勢力に借りを作ってしまった、この時点で既に問題なのですが、深みにはまらないためにも、先手を打って調査の必要があるでしょう。
3,クレームの多い顧客を抱えている(抱えるようになった)
反社会的勢力とのつながりを従業員が持っている場合、二者が組んで、計画的なクレームをつける場合があります。
一般の顧客を装ってクレームを付け、裏で繋がっている従業員を通して見返りを要求するという形です。
単に従業員の仕事の質からクレームが発生している可能性も十分ありますが、今回考慮するのは反社会的勢力です。
リスクを最小にするためにも、万一に備えておく必要があります。
採用後、人事評価をする際に、クレームの件数やその処理に違和感がないか、注視しておきましょう。
4,家族や交友関係に不審な点がある
家族や交友関係に、不審な点や違和感がある場合も、要注意です。
例えば、年齢に見合わない高級車などを所有しているということや政治的な発言が多いなどのほかに、
社会運動やある特定の政治活動に積極的なども挙げられます(反社会的勢力は、暴力団のみを指すわけではない点に、留意しておきましょう)。
本人のみならずその交友関係に違和感を覚えた場合も、無視するのは得策とは言えません。
それが必ずしも反社会的勢力と関係したことによるものとは言えませんが、
その恐れがある以上、リスク管理という観点から、事実関係を確認しておく必要は出てきます。
反社とのつながりを予防するために
反社との繋がりは、事前に予防するのがベストです。
採用や取引にあたって、必ず反社会的勢力に関する項目を盛り込み、自社が関係者とならないように予防する。
これは最低限の対策であり、こちらの目を欺こうとしてくる、悪意ある人には、効果がありません。
会社が大きくなるにつれて、不祥事が起こった際の影響というのは、一足飛びに大きくなっていきます。
それが反社会的勢力との関係となれば、なおのことです。
社内に反社会的勢力が入り込んでいないか、採用予定者の中に紛れていないかなど、
疑いのある人を先んじて調査しておくことが、こういったトラブルを未然に防ぐことに繋がります。
一度関係を持ってしまうと、容易に手を切ることも難しいのが反社会的勢力。
調査の必要性を感じましたら、まずは調査の専門家にご相談ください。