ストーカー行為を証明したい!被害届を出すために必要な証拠とは?
無言電話や怪しいメール、待ち伏せや不審な投函物……。こうした被害は、ストーカー行為として、警察に届け出ることができます。
しかし、「警察に行っても、動いてくれないのでは?」、「大した対策をしてくれないのでは?」と不安に思っている方も、多くいらっしゃいます。
そんなときに役立つのが、ストーカー行為の証拠。被害を受けている証拠を提出できれば、警察により強い対応をしてもらうことが可能になります。
そこで今回は、ストーカー行為に遭った際、被害届を出すために必要な証拠について、詳しくご紹介します。
ストーカーの判断基準は?
そもそも、どのような行為がストーカー行為とされるのでしょうか。
ストーカー行為の定義については、ストーカー規制法の中で「つきまとい等」の行為と「ストーカー行為」の2つが定義されています。
つきまとい等の行為は具体的に、以下のような行為が対象です。
- つきまとい、待ち伏せ、進路への立ちふさがりや、住居、勤務先、学校などに押しかける、うろつくなど
- 行動を監視していると思わせるような事を告げる行為
- 面会・交際などの強要
- 著しく粗野または乱暴な言動をすること
- 無言電話や、連続して電話する、ファクシミリ、電子メールなどでメッセージを繰り返し送信すること
- 汚物や動物の死体などを送り付ける
- 名誉を害すること
- 性的羞恥心を害する事項の告知や、写真、文書などを送ること
参考:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=412AC0100000081#97
ストーカー行為は、上記のつきまとい等に該当する行為を反復して行う場合を指します。
これらの被害を受けている場合は、信頼できる人や警察に相談して、身の安全を確保しましょう。
なぜストーカー行為の証拠が必要なのか
ストーカー行為を証明するうえで、なぜ証拠を集める必要があるのか?
理由は、証拠が不十分だと、ストーカー行為への対策が十分にできないためです。
ここからは、どうしてストーカー行為を証明するために証拠を集めることが必要なのか、詳しく解説します。
警察へ被害届を出すため
警察へ被害届を出すことで、ストーカー行為を繰り返す犯人に対して、警察に介入してもらうことができます。被害者への接近禁止命令や、場合によっては逮捕・起訴もしてもらえます。
しかし、証拠が何もない状態では、実害や事件性が立証されず、警察は介入することができません。
できたとしても、パトロール強化や、アドバイス程度の比較的軽い対応となってしまいます。
なので、警察へ被害届を出すときは、可能な限りストーカー行為を証明する証拠を集める必要があります。そして禁止命令などの措置を取ってもらえるよう、実害や事件性を立証することが重要です。
裁判になったときに有利にするため
ストーカー行為の証拠は、犯人と法廷で争うことになった際にも重要です。
犯人がストーカー行為を否定して言い逃れする道を塞ぎ、相応の罰や慰謝料を請求しやすくなります。
優位な立場で裁判を進めるためにも、ストーカー行為を証明する証拠は、必ず集めるようにしましょう。
ストーカー行為の証拠となるもの
ストーカー行為を証明できる証拠とは、どのようなものを指すのでしょうか?
どのようなものを集めるべきなのか、具体的にご紹介します。
ストーカー行為の写真や動画、音声
ストーカー被害に遭った際、それを撮影、録音しておくと、ストーカー被害の証明と犯人の特定につながる直接的な証拠として、大きな効力を持ちます。
ただし、まず何よりも自身の安全を最優先するようにしましょう。犯人と直接の接触があった際や、つきまとわれている時に撮影するといった強引な行為は、相手を刺激することになるため非常に危険です。
ですから、そういった場合は証拠の収集よりも、自分の身の安全を最優先してください。
ストーカーからのプレゼントや贈り物
ストーカーからのプレゼントや贈り物は、ストーカー被害を証明する有力な証拠です。
日付、時刻を書いて、密封できる袋に入れて保管しておくとよいでしょう。贈られてきたものが、生き物の死骸や食べ物等の生もので、現物が保管できない場合は、写真を撮って記録に残します。
ストーカーから贈られたものに対して「気持ち悪いから早く捨ててしまいたい」と感じるかもしれません。ですが、重要な証拠だと割り切って、保存しておくようにしましょう。
もし、どうしても手元に置いておきたくない場合は、信頼できる誰かに預けるという方法もあります。また、小規模なレンタルスペースなどを借りて、そこに預けることもできます。
ストーカーからのプレゼントや贈り物は、非常に有力な証拠になりますから、完全に処分することは避けること。何かしらの方法で保管するか、写真に残して記録しておきましょう。
ストーカーからの電話やメールなどの連絡の記録
電話や手紙、メールなどの連絡がくる場合は、電話の音声の録音、着信やメールの履歴や届いたメールを保存しておきましょう。
メールは内容だけではなく、送信者、日付などが分かる状態で残しておくことが望ましいです。
ストーカー行為の時系列や頻度の記録
ストーカー行為がいつから始まったのか、どのようにエスカレートしていったのか。被害の時系列や頻度を、日付、時刻、天気と一緒にノートなどに記録して、残しておきましょう。
ストーカー被害以外にも、その際に自分が行った対応や、どのような心情であったかも記入しておくと良いです。「自分は明確に拒否したにもかかわらず、その後もストーカー行為が繰り返された」という事実を証明する証拠になるためです。
身体的、精神的苦痛により受けた被害の診断書
ストーカー被害によって心身に健康被害が出た場合は、すみやかに病院を受診しましょう。
そして、ストーカー行為に遭っている現状を正直に知らせたうえで、必ず診断書を書いてもらいます。この時、領収書も忘れずにもらってください。
医師の診断書があれば、傷や病の具合、発症時期、ストーカー行為との因果関係を証明する証拠となります。
ストーカー本人の身元情報
もし、犯人の身元が分かっている場合は、知っていることをすべて警察に伝えましょう。
犯人の身元情報は、警察が対策や捜査を行う上で重要な情報になります。
また、訴訟を起こす場合は、相手の身元が判明していることが前提となります。
些細な情報でも、思い出したことはすべてノートにまとめて記入しておくと安心です。
ストーカー行為の証拠の集め方
ストーカー行為の証拠は、どのように集めればいいのでしょうか。
具体的な集め方と注意点をご紹介します。
自分で集める
ストーカー行為の証拠の多くは、自分で集めることになります。
その中でも、犯人からの贈り物などは、できる限り犯人が残したままの状態で保管するようにしましょう。
他にも、以下のような方法で証拠を集められます。
- ストーカー被害を記録に残す
- 病院で診断書をもらう
- ICレコーダーや録音アプリ等で電話や会話の音声を録音する
- 着信履歴の保存、印刷
- 贈られてきた手紙やプレゼント等を保管する
- メールの日付、受信履歴や内容、送信者が分かる記録を保存、印刷する
- LINE、SNS等のメッセージや掲示板の書き込みなど、会話のログや受信履歴、画面のスクリーンショットを保存、印刷する
2017年のストーカー規制法改正以降、インターネット上での書き込みやSNS等での嫌がらせメッセージなども、規制の対象となりました。
インターネットを使用した書き込みは、多くの場合、書き込んだ本人が消せるようになっています。そのため、消されてしまう前にログ、受信履歴をスクリーンショット等で記録しましょう。
探偵に依頼する
犯人が実際にストーカー行為をしている姿を写真や動画に収めるのは、自分自身ではなかなかできません。また、強引に撮影を試みて犯人を刺激してしまうと、自分の身が危険に晒されてしまう可能性があります。
安全のためにも、写真や動画の撮影は、探偵などの専門家に調査を依頼しましょう。
探偵であれば、
- 張り込みによるストーカー行為の写真・動画の撮影
- 盗聴器発見調査
- 尾行や指紋・声紋鑑定などによる犯人の特定
といった、プロにしかできない調査によって、安全に証拠を集めてくれます。
ストーカー被害の証明は証拠集めが重要
警察に被害届を出すためには、ストーカー行為を証明するための証拠集めが必要です。
しかし、証拠集めに時間がかかればかかるほど、ストーカー被害がエスカレートしたり、心身に影響が出る可能性は大きくなっていきます。
被害の拡大を防ぐためにも、証拠集めは迅速に行う必要があります。
電話の音声や贈り物など、自力で集めることができる証拠は、処分せず保管しておきましょう。
ただし、証拠集めのために犯人と接触するのは非常に危険ですから、絶対に避けるように。
安全のためにも、自力で集めることが難しい証拠の収集は、探偵などプロの力を借りてください。